先日、ハイビジョンで放映していた「さらば、わが愛 覇王別姫」を観ました。
今から15年も前の作品。
当時の超話題作で、観たい観たいと思いながら今まで観れず、やっと念願かないました。(さっさとレンタルすればいいものを・・^^;)
この美しさ!!
女性を軽~く超えてしまったレスリー・チャン。当時世界中を魅了したのも頷けます。
(少年時代の子役の色気も大したもんでした。)
激動の中国の時代を、運命に翻弄されながら生きた京劇役者の壮絶な物語です。
娼婦の母に捨てられ、スパルタ京劇学院(タコ部屋みたいなとこ)に入り、死にそうな修行を続けた少年・豆子は、後に<蝶衣>と名を変え、やがて京劇界のトップ女形となる。
名作『覇王別姫』の”虞美人”を当たり役とし、自分を常に守ってくれた少年時代からの同士<小樓>が演じる”項羽”を舞台の上で愛するように、いつしか実生活でも小樓を愛するようになっていた。
しかし、ある日小樓(蝶衣の心に気付いていない)が遊郭の女・菊仙との結婚を電撃発表し、片想い中の蝶衣は激怒。
菊仙への嫉妬に狂いながら、身をやつし破滅的な人生へと転がり落ちていく。
その内、戦争や文化大革命が起こり、役者も弾圧され、誰もが生命的、精神的に追い込まれていき、その愛憎の果てに見えたものは何か・・・という、ものすごく重苦しく、大変な内容。
最近も京劇を観に行ったのですが、華やかな京劇の裏に、こんな事件があったなんて~!と驚きました。文化大革命、恐ろしすぎます。
監督はチェン・カイコー。「北京バイオリン」の監督です。
特筆はただただレスリー・チャンの圧倒的な存在感と、その演出&映像美。
長い長い緑色の回廊は、夢にも出てくるほどキレイ。
香港の監督の色彩選びがとても好きです。
私の好きなコン・リーも出てるのですが、やっぱりレスリー・チャンのため息ものの美しさにはかすみがちです。(まあ、そういう役だし。。。)
蝶衣の「私は男に生まれ、もとより女ではない」という、子供時代に”間違えて覚えた”セリフは、いつしか小樓への切ない想いとなり、蝶衣のその悲しみはラストシーンで痛いほど伝わってきました。
この映画全体を通して、愛と憎しみは紙一重なんだなぁとしみじみ。
3時間という長い映画でしたが、たたみかけるように展開し、飽きませんでした。
今年観た映画では「ダーク・ナイト」が一番なのですが、ヒース・レジャーにしてもレスリー・チャンにしても神がかった演技がスゴイ。
その後、時をおいて二人とも天に召されているのは、何かあるんでしょうか。
私の中ではレスリー・チャンといえば「欲望の翼」の中で言う”足のない鳥”のイメージだったんですが、今回ガラリと変わりました!
でも、どことなく儚い雰囲気は同じです。
生きててほしかったな。